民生文教常任委員会で市民5分間演説
今日、民生文教常任委員会にて
『「待っている福祉」から「手を差し伸べる福祉」で子育て世帯を支援するアウトリーチ型の福祉について』
という演題で市民5分間演説して来ました。
大田原市では、大田原市議会基本条例第17条第3項の規定に基づき、市民が議会で発言する機会が確保されており、
市議会定例会の各委員会の開会前に、市民が5分間の演説をすることができます。
大田原市市内に在住・在勤。在学する方であれば申込むことが可能です。
市政に対する自分の意見を自由に発言することができる大変貴重な機会です。
【参考1】市民5分間演説の実施について
https://www.city.ohtawara.tochigi.jp/gikai/docs/2015072200034/
【参考2】大田原市議会市民5分間演説実施要綱:
https://www.city.ohtawara.tochigi.jp/gikai/docs/2015072200034/file_contents/simin5fun.pdf
本日の演説内容を下記掲載いたします。
「待っている福祉」から「手を差し伸べる福祉」で
子育て世帯を支援するアウトリーチ型の福祉について
演説者:印南典子
本日は「待っている福祉」から「手を差し伸べる福祉」で
子育て世帯を支援するアウトリーチ型の福祉についてお話しさせて頂きます。
来春から親による子供への体罰が法律で禁じられることを受けて
今月3日、厚生労働省内の会合で、体罰に関する指針素案が示されました。
この背景には親が「しつけ」を名目に子供を虐待し最悪の結果に
至ってしまった事件が数々起こってしまっている事に有るのは、
みなさまもご承知の通りの事と思います。
各種メディアで報道される、親による虐待事件の加害者の多くは
男親で、被害児童は母親の連れ子のケースが殆どです。
しかし、厚生労働省の調査データーによると、虐待の加害者の
9割近くが実の親で、最も多いのが実の母親、次いで実の父親となっています。
実の母親がまさか?と思う方もいらっしゃるかと思いますが、
今の子育て環境をイメージすれば納得できます。
昔と違い共働きの両親と子供だけの世帯で、父親は朝早くから夜遅くまで仕事で不在。
その間、育児や家事をワンオペでこなすのは母親です。孤立してしまいます。
また、晩婚化が進み出産年齢が高くなってきていて、
仕事のスキルも高く自己コントロールが出来てきた人が、
子供というコントロールのきかない、
特に赤ちゃんに強いストレスを感じてしまっている事は、
虐待による死亡事件、年間約50人の内、
0歳児が約65%で最も多いという調査結果からも明らかであると言えるでしょう。
この法律が施行されることによって、体罰としつけが明確になる一方で、
少しでも子供に対してネガティブな感情を持ったり、
きつい言葉を発してしまったりしたら、私は虐待をしてしまったのではないかと、
自分を責め息苦しく追いつめられてしまう、親、特に母親の事が懸念されます。
そんな中、兵庫県、明石市は来年10月から市内の0歳児1人につき、月一回、紙おむつ1カ月分、
2パック約3千円程度を、市が委託した業者に宅配してもらう事業を始める方針を決定しました。
事業の目的は、おむつの無償提供で子育て世帯の負担軽減を行い、同時に母子の健康状態を見守り、
お母さんの話を聞いたり、相談に応じたりすることによって
、虐待に至るのを未然に防いだり、
深刻な事態に陥る前に発見したりすることによる、虐待防止を兼ね備えた取り組みです。
また宅配には、子育て経験のある女性ドライバーをあて安心感を持ってもらう。というものです。
アウトリーチ型の福祉とは、福祉支援メニューを取り揃えて来てくれるのを待っている従来型とは違い、
支援する側がこちらから出向いていくこのような支援です。
従来型のいわゆる、待っているお店型の支援では、
赤ちゃんを連れて決められた時間内にサービスの手続きに行ったりするのが困難であったり
、そもそも、産後うつに陥っていたりして、
自分が何に困っているのか、解らない、そういうお母さんも少なくないでしょう。
アウトリーチでこちらから出向き相談に乗り、
必要な支援に繋いでいく事は、子育て支援にとても有効だと思います。
大田原市でも妊娠から成人になるまでの、継続的な息の長い子育て支援を考えておられるのなら、
是非このような赤ちゃんとお母さんを守る、アウトリーチ型の支援を考えて頂きたいと思います。
更にこの事業を大田原市が行う場合の担い手や、財源確保についても考えてみました。
先ず担い手として、社会福祉連絡協議会と連携して、
市内、約172人の福祉委員さんで子育て経験のある方々を中心に研修を行い担い手になって頂いてはどうでしょうか。
また財源は、最近注目されている、ガバメントクラウドファウンディングを試みるのも一つの方策になると思います。
今現在大田原市では幸いにも、虐待による最悪の事件は未だ起きていませんが、
そうなる前にこのような事業を行う事によって、
今まで潜在化していたことが見えるようになり深刻化する前に対応する事が出来るようになるのではないでしょうか。
また、赤ちゃんの育児に戸惑いや困難や悩みを抱えている、多くのお母さんの為にも、
是非、手を差し伸べる子育て支援の実現を要望いたします。
結びに、
この市民5分間演説は、近隣市町には無い大田原市議会の先進的な事業と認識しておりますが、
平日の午前中に行うという事で、実施者が少ないという事に課題があると感じました。
解決の方法としては、例えば学校の社会科の授業や生徒会の集会に、
議会から出向いて行ってそこで演説を聞かせてもらうとか、現役世代の方には、録画でも許可をするとか、
ここでも議会からアウトリーチをすることによって、
市民が利用しやすく改善していくのが望ましいのではないかと思います。
数少ない市民の議会への直接参加の機会をより多くの方に経験してもらい、
主権者意識を高めてもらえるきっかけにもなると思います。
そのようなご検討も要望いたしまして、私の話を終わりに致します。
みなさま、ご清聴ありがとうございました。